脳波で分かる、瞑想、サイキック、人類の進化

AI新聞

 

人間の意識状態を研究している米Awakened Mind研究所によると、脳波データなどを解析することで、どれだけ深く瞑想に入れているかだけでなく、その人の意識変容の段階まで分かるという。またサイキックなどの特殊能力を持つ人たちのデータに、独特の形があることが分かった。同研究所によると、アーチストや経営者など社会で活躍する人たちにも同様のデータ形が確認できるため、「人類は、この方向に進化しようとしているのではないだろうか」(同研究所Judith Pennington代表)としている。

 

同研究所のホームページによると、個人の意識状態を脳波などのデータから測定する手法「Mind Mirror」を確立したのは、英国の研究者C. Maxwell Cade氏。同氏の没後、米国の研究者が研究を引き継ぎ、現在はPennington氏が研究を牽引している。

 

Cade氏が1976年に開発した測定機器は、その後何度かの改良を経て最新システムはThe Vilistus Mind Mirror 6と呼ばれ、EEG(脳波形)センサー、BVP(血液量パルス)センサー、GSR(ガルバニック皮膚反応)センサー、データ解析用ソフトウエアなどで構成されている。

 

 

Mind MirrorのEEGセンサーの特徴は、左右両方の脳の脳波を計測するところ。計測する脳波は、周波数の高いほうから

  • ガンマ波(30〜100Hz)
  • ベータ波(14〜38Hz)
  • アルファ波(8〜14Hz)
  • シータ波(4〜8Hz)
  • デルタ波(0.5〜4Hz)

の五種類。

 

右下のカラーの棒グラフが、一般的なMind Mirrorの解析結果だ。

 

 

現在人の多くは、目が覚めているときはベータ波が大きい状態。棒グラフではオレンジ色、黄色、赤色のグラフがベータ波で、言語や論理を使っているときに強くなる脳波だ。上のグラフでもオレンジ色系のベータ波の部分が大きくなっているのが分かる。

 

またパニック状態やストレスが高くなると、ベータ波の中でも高い周波数の脳波が強くなる。グラフでは赤色の棒グラフが長くなる。現在人の多くは左脳のベータ波が大きい状態で過ごしているという。一方ベータ波よりも周波数の高いガンマ波は、ほとんど出ない。

 

瞑想したり、心が静まってくると、アルファ波(緑色)、シータ波(青色)、デルタ波(紫色)という順に周波数の低い脳波が大きくなっていく。シータ波が大きくなると、脳が潜在意識にアクセスしており、デルタ波が大きくなると無意識にアクセスしているのだという。

 

直感やクリエイティビティは、潜在意識、無意識の中にある複数の情報が結びつき、それに健在意識が気づくことで生まれる、と言われている。つまりシータ波、デルタ波が大きくなっている状態で、ベータ波やアルファ波が大きくなっていれば、直感やクリエイティビティが高まるわけだ。

 

左脳的な論理思考は、AIが得意とするところ。人間の顕在意識を電子回路で再現しようとしているのだから、当然そうなる。一方で人間は、AIの論理思考と競うのではなく、潜在意識、無意識など脳全体を使って、よりクリエイティブに、より直感的になっていくべきなのかもしれない。

 

覚醒脳

Awakened Mind研究所でも、この脳の状態を一つの理想形と考えており、「覚醒脳」と呼んでいる。

 

脳を覚醒脳の状態にするには、瞑想が効果的な方法の一つ。普通、人が睡眠に向かう場合は、脳波がベータ波、アルファ波、シータ波、デルタ波の順に周波数が低くなっていくが、一方で瞑想は、シータ波、デルタ波と周波数が低下する中でも、顕在意識に近いアルファ波の活動を維持する方法だからだ。

 

 

進化脳

瞑想を習慣的に続けていると、瞑想をしていないときでも覚醒脳の状態が維持されるようになる。またそういう人が瞑想をすれば、ベータ波、アルファ波、シータ波、デルタ波の4つの脳波が同じような大きさになる。脳全体を使っていることが分かるデータだ。同研究所では、この脳の状態を「進化脳」と呼んでいる。この状態になると、自分と世界が1つになった「ワンネス」の感覚になるという。仏教で言うところの「彼我一如」の境地だ。

 

 

超意識シンクロ状態

さらに瞑想の熟練者になると、最も周波数の高いガンマ波が大きくなることが分かっている。意識が明晰になり、学習速度も早くなり、共感力も高まる。同研究所はこの状態を「超意識シンクロ状態」と呼んでいる。

 

 

究極脳

そして究極は、ガンマ波を含めたすべての脳波が一斉に高くなる状態で、「究極脳」と呼ばれている。瞑想中にこの状態になった人は、仏教で言うところの「空」や「無我」の状態になるようだ。

 

 

同研究所はこれまでに数千人以上の脳波を解析し、瞑想指導を行ってきたが、サイキックやヒーラーと呼ばれるような超能力者や、トップクラスの経営者の中に「究極脳」の波形を示す人が多かったという。ガンマ波が出ると、脳細胞が新しく作り出されたり、脳の回路が組み替わったりすると言われている。Pennington氏は「究極脳が次の人類の進化の役割を担っているかもしれない」と語る。また若い世代には究極脳を持つ人が増えてきていると言う。

 

こうした脳波を計測、解析できるVilistus Mind Mirror 6は、必要なデバイスをすべて揃えるのに、25万円近くかかる。しかしこうしたデバイスは、どんどん低価格化が進んでいる。一方で、脳波を整える音楽や、電気刺激、超音波刺激などで、簡単に深い瞑想状態に入れるようなデバイスも次々と登場している

 

こうしたデバイスの低価格化、高性能化が進めば、脳を訓練することで、より幸せに、よりクリエイティブになりたいという人が増えることだろう。人類は、自分で自分の脳を進化させる時代に入ろうとしているのかもしれない。

 

AIは左脳的な論理思考がより得意になっていく一方で、人間は脳全体を使って、よりクリエイティブに、より直感的に、より愛情豊かになっていく。それが人間の次の進化なのかもしれない。

 




【編集後記】おもしろそうな話だが、サイトのどこを探しても、この件に関する論文はない。なのでこの話のどの部分が、どの程度科学的に立証されているのかは、よくわからない。今の代表のPennington氏はジャーナリズム出身ということなので、特に学会で発表するつもりはないのかもしれない。

 

 

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湯川鶴章

AI新聞編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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