米国型AI経済モデルに米政府が「待った」

AI新聞

アップルなど米ハイテク大手が軒並み急落-反トラスト当局の捜査懸念という記事を読んで。

これは結構大きな時代の変革期なんで、ちょっと思うことを書いておきたい。

いくつかの記事を読んでみると、米司法省は独禁法違反の疑いでGoogleとAppleに対して調査の準備を進めていると報じられ、米連邦通商委員会(FTC)はFacebookとAmazonに対する調査の準備を進めていると報じられている。

米ハイテク大手にとって、この政府の独禁法調査って、めちゃくちゃ怖いらしい。かって独禁法調査の矢面に立った米Microsoftの幹部の書いた手記を読んだことがあるが、結構なストレスを受けたらしい。結局、クロであれシロであれ、調査を受けることで企業が弱体化するのは免れないとしている。確かにシリコンバレーの人たちに話を聞くと、20世紀の終わりに天下無敵だったMicorsoftがハイテク大手のワン・オブ・ゼムに成り下がったのは、司法省による独禁法調査が原因だと言う人が多い。

産総研の辻井先生の記事「AIと人間が共に進化する時代においてGAFAへの一極集中はありえない 産総研辻井潤一氏」が予言したように、GAFAへの一極集中は終わろうとしているのかもしれない。

辻井先生は、世界の経済モデルには①米国の民間の利益追求モデル②中国の官主導モデル③EUと日本の非中央集権モデルの3つがあるとしている。①が今、大きく減速しようとしている中で、③のEUと日本のモデル、特に日本が大きく世界をリードするようになればいいんだけどな。成功のカギは、その分野の専門知識を持った人、AIエンジニア、ビジネスパーソンのパワーバランス。ちょうどいいバランスの企業を作れるかどうかだと思う。

 

湯川鶴章

AI新聞編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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