生成AIを活用したサービスやツールが雨後の筍のように生まれてきている。米調査会社The Rundown AIのツールデータベースには既に数千のAIツールが記録されている。このデータベースに記録されていないツールの存在を考えると、今年になって登場したAIツールは全部で1万個を超えるのかもしれない。
米シリコンバレーの著名ベンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツはこのほど、こうしたAIツールの月間アクセスランキングを発表した。若者の間でチャットボットと対話することが新たな娯楽になっているなど、生成AIが引き起こす社会変化の兆しを読み取ることができる興味深いランキングになっている。
首位はやはりChatGPTだが、注目はcharacter.ai
それによると、首位は圧倒的な強さでChatGPT。まあこれは想定の範囲内。興味深いのが、AI新聞の記事「キャラクター型チャットAIという新メディア」で取り上げたCharacter.aiが2位にランクインしたこと。ローンチ後まだ数ヶ月だというのにChatGPTの1/3ぐらいのアクセス数を叩き出している。
出典 https://a16z.com/how-are-consumers-using-generative-ai/
Character.aiは、有名人やアニメのキャラクターなどのチャットボットをユーザーが自由に作れるプラットフォームで、数百万人のユーザーが一日平均約2時間もチャットボット相手に遊んでいる。一人当たりの月間アクセス数は38回で、これはInstagramやFacebook、TikTokを上回っているという。ユーザーはほとんどが10代から20代の若者で、チャットボットとの会話が、若者の新しい娯楽になってきているのかもしれない。
3位がはGoogleのBard。Poe、Qullbotとその後に続く。この辺りは妥当なところ。
利用者はまだ少数派
一方ビジネス系のメディアなどではAIの話題が多いものの、一般消費者のAIツールの利用頻度はまだまだ低いようだ。一般的なWebサービスと月間アクセス数で比較したところ、海外で人気のメッセージングサービスのWhatsAppが首位で、Youtube、Facebook、Instagramとそれに続く。
AIツールの代表格のChatGPTは、このリストではなんとか16位に入っている程度だ。まあほとんどのAIツールがリリースされてから1年未満なので、無理もない話かもしれない。
使いやすさを工夫したGPTラッパーが健闘
意外なところではツールを1から独自に開発したのではなく、OpenAIのAIモデルを微調整するなどして開発したGPTラッパーと呼ばれるようなツールが結構健闘している。ラッパーとは包み紙の意味で、中身はOpen AIのAIモデルなんだけど、外側、つまりUIUXなどのデザイン部分だけを特定の用途に特化させたという意味。
カテゴリー内の圧倒的勝者は未定
AIツールをカテゴリー別に見ると、最も多いのが「一般的アシスタント」で、全体の70%を占める。ChatGPT、Bard、Poeなどがこのカテゴリーに入る。次にCharactor.aiなどの「話し相手」が13%、画像生成などの「コンテンツ生成」が10%、「コンテンツ編集」が3.7%となっている。
それぞれのカテゴリー内での勢力図はまだまだ流動的で、例えば画像生成のカテゴリーでは首位のMidjourneyに LeonardoAIが急速に接近してきているようだ。一般消費者がこうしたAIツールを日常的に使うようになり首位のツールのブランドが確立してしまえば、新規参入は困難になる。AIツール事業に参入するのであれば、今がその時期だと思う。
モバイルアプリに比べて料金は割高
またトップ50のAIツールの約90%が有料で、年間利用料は平均252ドル(約3万円)。これは一般的なモバイルアプリよりもかなり割高。僕の知ってるモバイルアプリって300円くらいで購入できたり、年間利用料が数千円程度。
ところが先日サブスクした睡眠AIコーチの利用料は月間30ドル(約4000円)だった。確かに高い。多くがGPTラッパーなので、開発企業自身もAIモデルの使用料をOpenAIに支払わないといけないからだろうか。それとも利用者にとってこれまでのモバイルアプリより使い勝手がいいので、比較的高額な利用料を問題なく支払っている人が多いということだろうか。