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◎キャラクター型チャットAIという新メディア
ChatGPTを中心にチャット型AIが世の中を席巻している。その進化ぶりは凄まじく新しい用途が次々と開発されている。中でも注目すべきは、アニメやゲームのキャラクターなどに成り切ったキャラクター型のチャットAIだ。キャラクター型チャットAIのプラットフォームcharacter.aiによると、月間2億8000万件のアクセスがあり、ユーザーは1日平均2時間、1回のセッション当たり平均30分もAIとの会話を楽しんでいるという。YouTubeの平均視聴時間が20分と言われていることから、巨大メディアが登場したわけだ。米Meta社も、同社運営のFacebookやInstagram上で、キャラクター型チャットAIプラットフォーム事業に乗り出す計画が明らかにしており、新たなメディア戦国時代の幕開けとなりそうだ。
(図出典 Zack Hargett氏 英語)
Character.ai社のサイトにアクセスすると、ゲームやアニメのキャラクターを始め、テレビや映画のスターなどの成り切っているチャットAIがずらっと並んでいる。イーロン・マスク氏など著名人のように受け答えするチャットAIもある。同社に出資している著名ベンチャーキャピタルAndreesen Horowitzの公式ブログによると、今年3月の時点でキャラクター数は270万を超えたという。自分好みのキャラクターを選んで、会話を楽しめるわけだ。(ソース Andreesen Horowitz 英文)
また娯楽以外の目的のキャラクターも存在する。文書作成が得意なキャラクターや、プログラミングが得意なキャラクター、英会話の練習相手になってくれるキャラクター、スピリチュアルな人生相談に載ってくれるキャラクター、健康習慣を支援してくれるキャラクターなども存在する。
こうしたキャラクターは、実はユーザーが作成している。character.aiのサイト上の作成ツールを使えば、誰でも簡単に自分好みのキャラクターが作れるという。同サイトの案内AIによると、だれでも使えるオープンなキャラクターに加え、特定のユーザー限定のクローズドなキャラクターも作れるという。また自分の所有データを学習させて、特定の事象にだけ詳しいキャラクターも作れるらしい。
一方、英Financial Timesによると、Metaは同様のキャラクター型チャットAIのプラットフォームを開発中で、9月の開発者向けイベントで発表する見通しという。リンカーン米大統領に成り切ったチャットAIや、旅行アドバイザーのチャットAI、サーファーのチャットAIを開発しているのだとか。こうしたAI開発のためにNVIDIAの半導体を1万個以上確保したらしい。(ソース Financhial Times 英語 有料)
開発したチャットAIはFacebookやInstagram上で展開するもようだ。
【今週のそのほかのニュース】
◎Apple、Amazon、AI全力投球宣言
◎Metaが音楽生成モデルをオープンソースで公開
◎OpenAIがGPT-5の商標を申請
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湯川鶴章
AI新聞編集長
AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。