exaCommunity

exaCommunity exaCommunity exaCommunity exaCommunity

AI新聞 -AI WEEKLY- 人工知能の世界をもっと身近に AI新聞 -AI WEEKLY- 人工知能の世界をもっと身近に

休暇、経費も自由。Netflixの究極の企業文化=「No Rules」レビュー③

  • 2020.9.26

SHARE

 

映画配信サービス米Netflixでは、社員の休暇や経費に関する規定が一切ない。全員が超優秀な社員で、しかも何でも言い合える環境であれば、従業員規定など不要だという。本当にそんなこと可能なのだろうか

 

10月末に日本語版が出るNetflix創業者Reed Hastings氏著「No Rules Rules」の英語版レビューの第3弾。

 

レビュー②で見たように、「二人の凡庸な社員より、一人のスーパースターのほうがいい」というのが同社の考え方。仕事ができて、しかも性格のいい「大人の」社員だけで組織を構成していれば、細かな規則で社員を拘束しなくても一人一人が最高のパフォーマンスを発揮する。そしてスーパースターの相乗効果で企業は指数関数的に業績を伸ばす。

 

社員を大人として扱う

こうした信念に基づいているので、Netflixでは休暇、経費に関して一切の規定を排除したという。

 

社員が自由に休暇を取れるようになれば、会社にとってどんなメリットがあるのだろうか。最高製品責任者(CPO)のNeil Hunt氏はアウトドアが大好きで、毎年長い休暇を取っては極限の地に出かける。ある年の休暇では、夫婦でシエラ・ネバダ山脈に氷用のノコギリを背負って登り、エスキモーの家のようなイグルーを作って1週間を過ごしたという。休暇から帰ってきてすぐに同氏は、ユーザーに最適の映画を推薦する画期的なアルゴリズムを思いついた。

 

仕事に没頭しているだけでは斬新なアイデアは思い浮かばない。クリエイティブな仕事をする人には頭を空っぽにする時間が必要だ、とReed氏は言う。

 

こうした経験から、Reed氏は休暇に関する規定を廃止することを決めたという。

 

また休暇に関する規定がないということで、特に若い世代の優秀な人材を採用できるようになったとしている。

 

Netflixが先鞭をつけたことで、米国では同様に休暇規定を撤廃する会社が増えている。テクノロジー業界では、LinkedIn社を始めEventbrite社、Glassdoor社、Songkick社、HubSpot社などが規定を廃止している。そのほかの業界でも、弁護士事務所のFisher Phillips社、PR会社のGolin社、マーケティング会社のVisualsoft社などが同様の措置を取っているという。

 

ところがその実態は

しかし休暇規定を撤廃すれば、社員が好き勝手に休暇を取り、仕事がうまく回らなくなりはしないだろうか。

 

Netflixでは社員の休暇の日数を一切記録していないので、社員がどれくらい休暇を取っているのかを示す統計がない。

 

なので実態をつかみづらいのだが、あるとき地元の新聞社の記者が、Netflixの社員は年間何日ぐらい休暇を取っているのか調べようとして、同社を取材で訪れたという。この記者はカフェテリアに来た社員を捕まえて話を聞いて回ったが、結局、記事にすることを諦めて帰って行ったという。話を聞いた社員の休暇日数を平均したところ、一般の企業が規定めている日数とそう変わりがなかったという。

 

会社がルールを細かく規定すれば、ルールのスキをついてこようとする社員が増える。反対に会社が社員を責任感のある大人として扱えば、社員は責任感のある大人として振舞う。自分や同僚の仕事の流れを考え、取引先との関係を考えれば、責任感のある社員の休暇日数は、自然と世間並みに落ち着くようだ。

 

経費をいくら使ってもいい?

同様に経費の規定がないといっても、総務のチェックはあるし、社員同士で率直に意見を言い合う企業文化もある。判断基準は、会社のためになるかどうか。会社のためにならないお金の使い方であれば同僚から指摘されるし、定期的に総務のチェックを受けることになる。会社のためにならないような経費の使い方であれば、首になることもあるようだ。

 

休暇や経費に関する規定がないと言っても、単に日本的な「空気を読む」ような感じで、休暇の取り方や経費の使い方を一人一人が決めているだけのことなのかもしれない。もちろんそれはアメリカの会社としては、珍しいことなのかもしれないが。

 

 

 

10月22日の日本語版発売予定に先駆けた英語版の先行レビューのシリーズ。

 

日本語版の発売に合わせてオンライン勉強会を開催する予定です。詳細は後日発表します。

 

 

 

湯川鶴章

AI新聞編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

ABOUT

ご入会いただくと、AI新聞のすべてのコンテンツに加え、
国内外の最新AI活用事例等の会員限定コンテンツもチェックできます。
また月数回開催している会員限定イベントに何度でも参加可能。
詳しくはエクサコミュニティサイトでチェック!