AIが生み出す富を仮想通貨で分配 ニュースダイジェスト2023-07-25

AI新聞

◎Sam Altman氏の仮想通貨Worldcoinスタート

ChatGPTの生みの親Sam Altman氏の仮想通貨プロジェクト、Worldcoinが始まった。(ソース CoinPost

 

Altman氏はいろいろなプロジェクトに投資しているが、そのうち最も力を入れていると見られるのが①AI②核融合③Worldcoin。核融合でエネルギーが無料になり、AIが人間に変わって富を生むようになる未来。AIが生み出す富を世界中の人たちに公平に分配するベーシックインカム計画が、Worldcoinだ。

 

ものすごい壮大な計画。

 

ベーシックインカムを実施する上で課題となりそうなポイントが2点。1つは、どこの国がどの通貨を使って世界中の人々に富を分配していくのか。どこかの国に頼らずに非中央集権的な仕組みにしたい、ということでAltman氏は仮想通貨Worldcoinを開発した。

 

2つ目の課題は、どうやって全員に公平に仮想通貨を配るのか。不正受給が起こらないだろうか。この課題を解決するためにWorldcoinプロジェクトでは、オーブと呼ばれる球体のデバイスを開発。このデバイスを見つめることで瞳を解析し、本人認証する仕組みになっている。既に100万人以上が、瞳の解析に合意しているという。


時代が急速に動き出している。

 

◎マスク氏、TwitterのロゴをXに

会社名は既にX incになっているんだけど、サービス名もXにするんだろうか。記事書く上でも「SNSのX 」と書いても最初は意味が分からないと思う。新聞記事などでも「X(ツイッター)」という表示になるだろうし、一般ユーザーもしばらくは「ツイッター」と呼び続けるような気がする。

 

それにしてもマスク氏はなぜここまで「X」という名称にこだわるんだろう。

 

実はマスク氏は23年前にX.comという名前のオンライン銀行を設立している。ところが彼が元妻と新婚旅行に行っている間に社内クーデターが起こり、社長の座を追われ、サービス名称もペイパルに変えられた経緯がある。なのでXという名称には思い入れがある。彼の中では一種のリベンジかも。(ソース NHK

 

◎次世代AI開発のためGoogle創業者が現場復帰?

Googleの共同創業者の一人、Sergey Brin氏の姿がGoogle本社でよく見かけられるようになったらしい。噂では、同社の次期AIであるGeminiの開発の陣頭指揮を取るためだとか。(ソース Wall Street Journal 英文・有料)(ソース Insider 英文)
 
 
今まで英国とカリフォルニアの2カ所にあったAI研究所を1つに統合したし、全社挙げてOpenAI・Microsoft連合に対抗していこうということか。
 
 
Geminiって言語エンジンに計画エンジンが搭載されるAIで、AIが自分の判断でタスクをこなすようになるという話。質問に答えるチャットボットから、目的のために自律的に動くエージェントに進化するという話。Googleとしては、ここで一気にOpen AIを追いつき追い越したいところだろう。
 
◎ChatGPT有料版にカスタム指示機能
先週はcode interpreter、今週はカスタム指示機能と、ChatGPT有料版の機能拡充が続いている。今回のカスタム指示機能も、結構Twitter上で話題になっている。
 
どんな機能かと言うと、ChatGPTに覚えておいてほしいことをあらかじめ伝えておくと、回答がより的確になる、と言う機能。
 
伝えておくことは2種類。WhatとHowだ。
 
例えばWhatとして、自分の住んでいる地域、職業、趣味、興味のある話題、人生の目標などを1500字以内で伝えておく。Howとしては、回答の長さ、専門的か分かりやすくか、独自の意見か中立的な意見か、などを同じく1500文字で伝えておく。自分がどんなことに興味があって、そのことについてどんな感じの対話をしたいのかを、伝えておくわけだ。
 
そうすることでそれ以降の受け答えは、このWhatとHowに沿った回答になるという。(ソース アスキー

◎ChatGPTの性能が悪化?

ChatGPTがバカになってきている!?(ソース ITメディア

「反応が遅くなった」「間違いが多くなった」という意見がTwitter上で散見されるようになってきた。開発元のOpenAIは、これを否定。AIには得意なタスク、苦手なタスクがあるので、たまたま苦手なタスクを命じただけでは、という見解。(ソース Busiess Insider 英文)
 
でもスタンフォード大学とカリフォルニア大学が共同で調査した結果、特定のタスクに関して性能が低下していることが分かったらしい。どういうことなんだろう。これは1つの研究テーマになりそう。(ソース Business Insider 英文)
 

◎ルカン先生がChatGPTを批判


ディープラーニングの3人の父の一人と言われ、Meta(Facebook)のAI研究所の所長を勤めるYann LeCun(ヤン・ルカン)先生が、またしてもChatGPTにケンカを売ってる。自分の技術のほうが優れているのに、世間がChatGPTを持てはやすのが我慢ならないみたい。
 
個人的には、ルカン先生の言う通り、ルカン先生率いるMetaの技術の方が先進的だとは思う。だけど、勝負はビジネスで決まる。運やタイミングもあるので、優秀な方がビジネスで勝つとは限らない。

ルカン先生は「ChatGPTは5年で使われなくなる」って言うけど、変化が加速度を増すAIの領域において5年も先頭ランナーで居られれば、それって逆にすごいことだと思う。ChatGPTの開発元のOpenAIも、ChatGPTの次のプロダクトを作ってくるはずだと思うし。

湯川鶴章

AI新聞編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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