Microsoft CopilotにAnthropic技術統合

AI新聞

 

米MicrosoftがAIエージェント機能「Copilot Cowork」を発表したことについて、有力テック分析ニュースレターStratecheryは、同社が企業向けAIの主導権を握るための重要な戦略的ステップだと指摘している。

 

Copilot Coworkは、AIモデル開発企業Anthropicの技術を統合した新機能で、従来のチャット型AIとは異なり、アプリ作成やスプレッドシート生成、データ整理などの業務を自律的に実行できる「AI作業員」のようなエージェントを想定したツールだという。Stratecheryは、この機能が示すのは「AIエージェントが新しいアプリになる」というプラットフォーム転換の兆しだと分析している。

 

同ニュースレターによれば、今回の発表で注目すべき点は、MicrosoftがOpenAIのGPTモデルだけでなく、AnthropicのClaudeモデルもCopilotに統合した点だ。Microsoftは近年、Azure上で複数のAIモデルを提供する「マルチモデル戦略」を打ち出しており、その方針をアプリケーション層にまで拡張した形だとされる。

 

一方でStratecheryは、Copilot Coworkが現在はClaude専用で動作する点にも注目している。AIエージェントは単なるモデルではなく、タスク実行を管理するソフトウェアの仕組み(ハーネス)と一体で機能するため、現時点ではハーネスに関してはAnthropicの方が技術的に優位なことがわかるという。

 

同ニュースレターは、Microsoftの強みは企業内のデータや権限、コミュニケーションを理解する「Work IQ」と呼ばれる基盤にあると指摘。Microsoft 365のID管理や文書、メール、会議情報などを統合したデータ基盤を使うことで、企業の文脈を理解したエージェントを構築できる点がMicrosoftの競争優位性だというわけだ。

 

Microsoftは、AI機能を中心とした新しい企業向けソフトウェアパッケージ「E7」を月額99ドルで提供する計画も明らかにした。Stratecheryは、この価格引き上げは、AIによる生産性向上を前提にした新しいビジネスモデルへの移行を示唆していると指摘する。ソフトウエアを販売したりSaaSとして提供するビジネスモデルは過去のものになる。MicrosoftのCEOのSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は以前からそう語っている。今回のAnthropic技術の採用は、AIエージェントという新しいビジネスモデルへの第一歩というわけだ。

 

同ニュースレターによると、MicrosoftはAIモデル競争ではなく「企業でAIエージェントが働く環境」を支配することを狙っているとという。AIモデルを複数提供する一方で、企業のデータやワークフローを握ることで、AI時代のプラットフォーム企業としての地位を強化しようとしているという見方だ。

湯川鶴章

AI新聞編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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