業界を変革する7つのAIエージェント

AI新聞

 

AI技術の進展とともに、AIエージェントは多様な業界や分野で革新をもたらしています。本コラムでは、注目すべき7つの事例—Reducto、Trellis、Multion.ai、tennr、HappyRobot、DataSnipper、Parcha—を取り上げ、それぞれの特徴や価値を解説します。


1. Reducto

Reductoは、データ抽出に特化したAIエージェントです。複数のビジョンモデルをトレーニングすることで、枠のない表からでも正確にデータを抽出する能力を持ちます。競合モデルと比較して10倍の速度を達成し、精度も30%向上しています。この性能の高さにより、法律、医療、金融といった多様な分野での活用が進んでいます。

さらに、Reductoは7桁の年間定期収益(ARR)を達成し、シードラウンドで840万ドルを調達するなど、ビジネス面でも成功を収めています。

特徴:

  • 高度なデータ抽出能力。
  • 競合他社比10倍の処理速度と30%の精度向上。
  • 多分野での活用可能性。

公式ウェブサイト: https://reducto.ai/


2. Trellis

Trellisは、非構造化データをSQL準拠のテーブルに変換するAIエージェントです。自然言語で定義したスキーマを使用することで、財務文書、契約書、電子メールなどの複雑なデータソースにもSQLクエリを実行可能にします。これにより、データ分析や管理が効率化され、多くのビジネスプロセスに革新をもたらします。

特徴:

  • 非構造化データをSQLテーブルに変換。
  • 自然言語スキーマの活用。
  • 財務文書や契約書など、複雑なデータソースへの対応。
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参考動画:https://youtu.be/jfhnIcdSNgs?si=MgBJsns0hEno-lYV


3. Multion.ai

Multion.aiは、ウェブ上でタスクを完了するAIエージェントです。自然言語での指示に基づいて動作し、サイト上に簡単にチャットボットを設置することが可能です。Chrome拡張機能として利用できるだけでなく、APIを通じて開発者が独自のアプリケーションに統合することもできます。

特徴:

  • 自然言語指示に基づくタスクの自動化。
  • サイトへの簡単なチャットボット設置。
  • Chrome拡張機能とAPIを通じた柔軟な利用方法。

公式ウェブサイト: https://www.multion.ai/


4. tennr

tennrは、医療事務に特化したAIエージェントです。医療機関の紹介フローを自動化し、紹介状やファックスからデータを抽出して事実関係を確認します。その後、抽出したデータを既存の医療系ビジネスソフトに入力することで、手作業の負担を軽減し、業務効率を向上させます。

さらに、同社の独自モデルRaeLM™は400万以上の医療文書を学習しており、高度な精度での処理が可能です。2024年にはシリーズBで3700万ドルを調達し、研究開発や営業チームの拡大を計画しています。

特徴:

  • 医療文書からのデータ抽出と自動入力。
  • 既存の医療システムとの統合。
  • 紹介フローの効率化とエラー削減。

公式ウェブサイト: https://www.tennr.com/


5. HappyRobot

HappyRobotは、物流業界向けに設計されたAI音声アシスタントを提供するプラットフォームです。これらのAIワーカーは、電話やメールなどのコミュニケーションを自動化し、業務効率を向上させます。具体的には、キャリアセールスやチェックコールなどの物流特有のタスクに対応するよう、実際の通話データセットを用いてモデルを最適化しています。

特徴:

  • 自然な会話の実現: フィラーや自然な間を取り入れ、人間らしい音声応答を提供。
  • スケーラビリティ: 需要に応じて迅速に対応し、業務の中断やボトルネックを回避。
  • リアルタイムのパフォーマンス監視: システムのパフォーマンスをリアルタイムで監視し、ボトルネックに対応。

HappyRobotのAIワーカーは、物流業界におけるコミュニケーションの自動化を推進し、業務の効率化とスケーラビリティの向上に寄与しています。

公式ウェブサイト: https://www.happyrobot.ai/post/ai-workers-for-logistics


6. DataSnipper

DataSnipperは、監査や金融業務におけるドキュメント処理を効率化するツールです。スプレッドシートやPDFから必要なデータを自動的に抽出し、分析を行います。特に会計監査や税務において高い効果を発揮します。

オランダ発のAIスタートアップで、Deloitte、KPMG、Ernst & Young、PwCなどの大手監査法人を含む世界125か国以上で50万人以上のユーザーが利用しています。2024年2月にはシリーズBの資金調達ラウンドで1億ドルを調達し、企業評価額が10億ドルに達しました。また、請求書や銀行取引明細書などの資料から情報を自動的に抽出・照合・検証することで、最大90%の単純作業を自動化しています。さらに、東京オフィスの開設や人材採用を進めています。

特徴:

  • データ抽出とクロスリファレンス機能。
  • 監査プロセスを効率化。
  • 複雑なデータの視覚化サポート。
  • 最大90%の単純作業の自動化。
  • グローバルな展開と日本市場への進出。

    公式ウェブサイト: https://www.datasnipper.com/jp/about-us

7. Parcha

Parchaは、金融機関向けにKYC(Know Your Customer)およびKYB(Know Your Business)プロセスを自動化するAIプラットフォームです。約3分でコンプライアンスチェックを完了し、顧客のオンボーディングを迅速化します。書類の検証やリスク評価を行い、カスタマイズ可能なワークフローでスケーラブルな業務効率化を実現します。

特徴:


結論

特定の業界に特化したHappyRobotやParchaのような垂直型エージェントから、ReductoやTrellisのような幅広い業界で利用可能な水平型エージェントまで、これらのAIエージェントはビジネスの在り方を大きく変えつつあります。各分野での応用事例が増える中で、今後はさらに多くの業界がAIの恩恵を受けることが期待されます。社会や産業構造そのものを進化させる可能性を秘めたこれらのエージェントは、私たちの未来を切り拓く重要な鍵となるでしょう。

湯川鶴章

AI新聞編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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