米OpenAIが、ChatGPTの大規模刷新を計画している。
ロイター通信が6月7日にFinancial Times報道として伝えたところによると、OpenAIはChatGPTをコーディングツールやAIエージェントを組み込んだ「スーパーアプリ」に作り替えようとしている。計画は「今後数週間」で実行される見通しとされ、早ければ6月下旬にも新しいChatGPTが登場する可能性がある。
https://www.reuters.com/business/openai-plans-chatgpt-superapp-overhaul-ahead-listing-ft-reports-2026-06-07/
ここでいうスーパーアプリとは、LINEに決済、ショッピング、予約、行政手続きなどが次々に組み込まれていくようなイメージに近い。ChatGPTの場合は、チャット画面を入口にして、コーディング、画像生成、資料作成、旅行予約、買い物、決済までを一つの画面で扱えるようにする構想だ。
今回の刷新で特に重視されるのが、AIコーディングツール「Codex」だ。Codexは、ソフトウェア開発の作業をAIに任せるための機能で、OpenAIはChatGPTのWeb版とモバイル版の画面を変更し、利用者をCodexや画像生成、AIエージェント機能へ誘導しやすくするという。
https://www.reuters.com/business/openai-plans-chatgpt-superapp-overhaul-ahead-listing-ft-reports-2026-06-07/
外部サービスとの連携も柱になる。OpenAIはすでに2025年10月、ChatGPT内で外部アプリを直接使える「Apps in ChatGPT」を発表しており、Booking.com、Canva、Coursera、Expedia、Figma、Spotify、Zillowなどを先行パートナーとして挙げていた。今回の刷新では、こうした外部アプリ連携をChatGPTの中心的な機能として前面に出すとみられる。
https://openai.com/index/introducing-apps-in-chatgpt/
利用者から見ると、たとえばChatGPTに「来週の大阪出張のホテルを探して」と頼むとBooking.comを通じて候補を出し、「この企画をスライドにして」と頼むとCanvaで資料作成に進む、といった使い方になる。これまではChatGPTで相談した後、人間が別のアプリを開いて作業していた。OpenAIが目指すのは、その切り替えをChatGPTの中に吸収することだ。
さらに6月10日には、米決済大手VisaがOpenAIとの提携を発表した。Visaによると、OpenAIのAIエージェントが始めた支払いを、Visaの決済ネットワーク、トークン化、不正検知の仕組みで処理できるようにする。利用者の承認や上限設定を前提に、AIが商品を探すだけでなく、購入まで進められるようにする狙いだ。
https://corporate.visa.com/en/sites/visa-perspectives/innovation/visa-openai-partnership.html
背景には、OpenAIの企業向け事業の拡大がある。ロイター通信によると、企業顧客はすでにOpenAI売上の約40%を占め、同社は年末までにその比率を50%近くへ引き上げたい考えだという。
https://www.reuters.com/business/openai-plans-chatgpt-superapp-overhaul-ahead-listing-ft-reports-2026-06-07/
ChatGPTは、質問に答えるチャットボットから、仕事や買い物を実行する入口へ変わろうとしている

湯川鶴章
AI新聞編集長
AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。