オープンソースの自律型AIエージェントシステム「OpenClaw」の絶賛の声が続いている。
NVIDIAのCEOのJensen Huang氏は、OpenClawが生成AIの第3の転換点だと言う。1番目の転換点は、GPT3がChatGPTとしてリリースされたとき。2番目がOpenAI o1などのリーズニングモデルが登場したとき。そして3番目の転換点として、Claude CodeやOpenClawなど自律型AIエージェントシステムが登場したと指摘する。
OpenClawは、メモリ、スケジューリング、I/Oシステム、スキル(API)という4つの要素を持っている。Huang氏は「この4つが揃えば、それはコンピューターだ。われわれは、OpenClawというパーソナルAIコンピューターを初めて手にしたのだ」と語っている。
パーソナルAIコンピューターは、まるでAI社員のようでもある。これまでの企業内でのAIツールはあくまでもツールという感じだった。会議の内容を要約してくれたり、英文を翻訳してくれたり、画像を生成してくれたりした。しかし自律型AIエージェントは、自然な日本語で命令すれば、何をどの順番ですべきかを自分で考えて、自分で複数のタスクをこなしていく。まるでアシスタントを一人雇ったような感覚だ。
ツールではなく、自律的に動くAIアシスタントには、多くの仕事を任せることができる。一方で、セキュリティやプライバシーの観点から、心配なことも多い。そこでOpenClawをより安全に使えるな仕組みが次々とリリースされている。
NVIDIAは、隔離された環境でエージェントを実行したり、ネットワークアクセス・データ扱いをポリシーで厳格制御するNemoClawを発表した。AmazonのクラウドサービスAWSは、Amazon Lightsail上でOpenClawのワンクリック・デプロイメントを提供し始めた。
こうした企業向けの安全な仕組みが提供されることで、OpenClawは企業などの組織の形を大きく変えていくだろうと、OpenExOの創業者のSalim Ismail 氏は予測している。同氏によると、企業のAIプロジェクトが軒並み失敗しているのは、人間同士のワークフローをAIで最適化しようとしているだけだからだという。ワークフローは手付かずのままなので、それほど大きな生産性向上にはつながらない。
ところがOpenClawのような自律型AIエージェントをワークフローに組み込めば、複数のAIエージェントはワークフローの改善を自分たちで試みるようになる。効率のいいワークフローの構築に必要なAIエージェントを自分たちで作り出し、ワークフローの最適化がどんどん進んでいく。
そのうちにワークフローの中に人間が存在することが邪魔になる。邪魔な人間を排除することで、ワークフローはより効率的になる、とIsmail 氏は指摘する。人間の役割は、ワークフローの中の歯車ではなく、ワークフローを監視したり、例外的な問題の発生時に対応したりということになるという。
自律型AIエージェントを導入した企業の生産性は大きく伸びる。導入しない企業との差が大きく広がる一方なので、どの企業も導入せざるを得なくなるだろうという。
Ismail 氏は「全ての企業が今すべきことは、組織の端に、AI中心のAIネイティブOSを作り、そこへワークフローを移管していくことだ」と指摘している。

湯川鶴章
AI新聞編集長
AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。