米OpenAIは、動画生成AI「Sora」の機能をチャットサービス「ChatGPT」に統合する計画を進めている。The Informationによれば、同社は近くChatGPT内でSoraの動画生成機能を提供する予定だという。
Soraは2024年に公開された動画生成AIで、昨年には専用アプリもリリースされた。アプリはTikTokのような動画フィード形式を採用し、ユーザー同士がAI動画を投稿・共有できる設計だった。しかし記事によると、公開当初はApp Storeランキングで首位を獲得したものの、その後利用は減速し、現在は165位まで順位を落としている。社内でも動画を公開投稿するユーザーはごく一部にとどまっていたという。
こうした状況を受け、OpenAIは戦略を修正し、動画生成を独立サービスとして育てるのではなく、主力プロダクトであるChatGPTに組み込む方針へと舵を切ったとみられる。
ChatGPTの週間アクティブユーザーは現在約9億2000万人とされ、同社は10億人規模への拡大を目標としている。動画生成機能を追加することで、ユーザーの利用頻度や滞在時間を高める狙いがある。
背景には競争激化もある。GoogleのGeminiアプリはすでに動画生成AI「Veo」を搭載しており、AIアプリの機能競争は急速に広がっている。OpenAIはChatGPTを中心に機能を統合することで、ユーザー基盤を守ろうとしている。
もっとも、同社のプロダクト戦略はここ数カ月で揺れている。ChatGPT内でのショッピング機能の導入計画を撤回するなど、方向転換も相次ぐ。
今回のSora統合も、独立アプリ戦略が期待ほどの成果を上げなかったことを示唆する動きと言える。
さらに動画生成の拡大は計算コストの増大を招く。OpenAIは2030年までにAI推論コストとして2250億ドル以上を費やす可能性があると試算している。
AI機能を次々と投入する一方で、どのプロダクトに集中するのか——。
SoraのChatGPT統合は、OpenAIが試行錯誤の末に再び「ChatGPT中心戦略」に回帰しつつあることを示している。
SoraのChatGPT統合は、OpenAIが試行錯誤の末に再び「ChatGPT中心戦略」に回帰しつつあることを示している。

湯川鶴章
AI新聞編集長
AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。