
米陸軍は、生物の筋肉組織をロボットに組み込むバイオ・ ハイブリッド・ロボットの研究を開始したと発表した。 サイボーグは生物に機械を埋め込むイメージだが、 バイオハイブリッドは逆に機械に生物の組織を埋め込むイメージ。 筋肉繊維を組み込むことで、これまでにないようなロボットの動きが 可能になるとしている。
発表によると、陸軍のコンバット能力開発部隊(DEVCOM) は、陸軍リサーチ研究所、デューク大学、 ノースキャロライナ大学と共同研究を行う。
バイオ・ハイブリッド・ロボットは、 人工骨格に動物の筋肉細胞を取り付け、 電気刺激を与えることで筋繊維が収縮し、 骨格組織全体の収縮運動が可能になる仕組み。動物の筋肉組織は、 生きた動物のものを採取するのではなく、 筋肉細胞を培養することで必要な筋繊維を組成するという。
同研究所のDean Culver研究者によると、「 生物はいろいろな分野においてロボットよりも高いパフォーマンス を出せる。生物の特性をロボットに取り組むべきだと思った」 と語っている。
まずは回転翼ではなく鳥のように羽根を羽ばたかせるタイプのドロ ーンと、歩行型ロボットの開発を目指す。
羽根を羽ばたかせて飛行するドローンは障害物に遭遇してもすぐに体制を立て直すことが可能で、 ジャングルの木々の隙間を高速飛行できるようになるという。
また歩行型ロボットの脚部分の筋肉は、 機械仕掛けの脚に比べて収縮能力が優れており、 でこぼこの地面など複雑な地形を歩行する上で効果を発揮するとい う。

湯川鶴章
AI新聞編集長
AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。