AIエージェントが変えるビジネスソフトの新常識

AI新聞

AI業界では、来年からAIエージェントの時代が始まると言われている。これまでのAIは人間の質問に答えるだけのチャットボットだったが、来年からはAIが自分で考え、自分で行動するようになるというのだ。AIエージェントの登場を受け、ビジネスソフトはどのように変化するのだろうか。

 

これまでのビジネスソフトは、データベースとビジネスロジックで構成されていた。ソフト内に組み込まれたビジネスロジックをベースに、データベースを作成し、読み取り、更新し、削除する仕組みだ。データはそれぞれのソフト内に保管され、異なるソフト同士の連携には複雑な処理が必要だった。

 

例えば、顧客情報が顧客管理システム、注文履歴が受注システム、在庫情報が在庫管理システムというように、それぞれ異なるシステムに分散して保管されている。これらの情報を統合して分析するには、各システムからデータを取得し、複雑な処理を行う必要がある。

 

MicrosoftのCEO Satya Nadella氏は「ビジネスソフトが、データベースとビジネスロジックで構成されるという考え方が、AIエージェントの時代には崩壊する」と語る。

 

AIエージェントは、ビジネスロジックを自分の中に持ち、複数のシステムにアクセスしてタスクを実行できる。例えば異なるシステムに存在する在庫状況データや顧客の購買履歴データを統合し、ビジネスロジックに従って商品のレコメンドが可能になる。

 

ビジネスロジックをAIエージェント側が持つことで、個々のシステムにビジネスロジックを組み込む必要がなくなり、システム間の連携が容易になるだろう。AIエージェントを核に複数のシステムが協力し合って効率よくタスクをこなすという仕組みになる。

 

Nadella氏によると、多くの企業がAIネイティブのビジネスソフトを求めるようになってきたという。まずはカスタマーサービス、次いでファイナンスなどでも同じような動きが見られるという。

 

同氏はこうした動きに抗うどころか、これまでのビジネスソフトのあり方を自ら積極的に崩していくと語っている。

 

「いずれはAIエージェントが表を生成するようになる可能性がある」と同氏。そうなれば表計算ソフトが不要になる。その方向に向かっていく中で、まずはCopilotというAIが、ビジネスソフトを計算用紙のように使う仕組みを作っていきたいとしている。

 

湯川鶴章

AI新聞編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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