交差点のAIカメラのデータを解析。米NoTraffic社リアルタイム交通管制システム

AI新聞

 

 

モビリティ関連見本市を主催する米CoMotionは、フロリダ州で開催中の見本市CoMotion MIAMIで、米シリコンバレーのAIベンチャーNoTraffic社の交通管制システムが最優秀賞に選ばれたと発表した。

 

 

NoTraffic社が開発したのは、交差点に設置されたAIカメラで取得した交差点周辺の自動車や自転車、歩行者のリアルタイムデータをディープラーニングで処理し、都市のすべての信号機を一定のルールに従って、そのときどきの最適のタイミングで切り替える交通管制システム。

 

 

 

これまでの交通管制システムは、過去の交通量のデータを基に信号機の切り替えのルールを設定していた。

 

NoTraffic社のAIシステムは、周辺地域の交差点のリアルタイムデータなども考慮してリアルタイムで信号機の切り替えを行うため、交通事故や火災など不測の事態にも迅速に対応できるという。

 

 

同社のトーマス・クーパー氏は、「1つの信号の切り替えタイミングを変えると、その影響は都市内のすべての交通の流れに影響する。考慮しないといけない要素が無数にあり、AIなしには管制システムを最適化することは不可能だ」と語っている

 

 

同社サイトによると、信号機の切り替え以外にも、いろいろなアプリケーションを想定して技術開発を続けているという。

 

 

 

・安全性

 交差点のAIカメラで、信号無視してきそうな車や自転車、歩行者を事前に予測して、コネクテッドカーに知らせる技術を開発中。

 

 

・特殊車両優先

 AIカメラは自動車の種類まで認識できるので、パトロールカーや、バス、清掃車などの特殊車両を優先して信号機の切り替えることが可能になる。

 

・マイクロモビリティ対応

 自転車や電動スクーターなど、マイクロモビリティの利用者が近年急増している。この動きに対応した交通管制技術も開発中。新たなマイクロモビリティが登場しても、すぐに対応できるようになるという。

 

・データフュージョン

 交差点のAIカメラのデータに加え、路線バスのGPSデータなども統合し、バス運行の遅延をなくしたり、各種データを統合することで、いろいろな新規サービスが可能になるとしている。

 

・Road as a Service(RaaS、サービスとしての道路)

 マイクロペイメント機能を搭載することで、有料道路の料金を車種別、時間帯別に細かく変動させ、金銭的インセンティブで交通渋滞を緩和できるようになる。有料道路の渋滞を緩和するため、有料道路から一般道に降りた運転手に対しての協力金支払いも可能になるという。

 

・コネクテッドカーとの連携

 交差点のAIカメラからのデータに加えて、今後普及が見込まれるコネクテッドカーからのデータを統合することで、さらにインテリジェントな交通管制システムへと進化していくという。

 

 

 

 

 

湯川鶴章

AI新聞編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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