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台湾のコロナ対策から学ぶ企業デジタル化のコツ

  • 2020.5.27

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日本でも緊急非常事態宣言が解除されるなど、新型コロナウイルス対策が新しい局面を迎えた。これまでの世界各国のコロナ対策を比較すると、その効果に明暗があることが分かる。中でも突出した効果を挙げて注目を集めたのが台湾だ。Withコロナ時代において日本の大多数の企業にとってデジタル化が不可欠になる中で、台湾の取り組みからは、いろいろと学ぶことが多そうだ。

 

株式会社エクサウィザーズ 執行役員の大植択真氏の講演資料によると、台湾は初動が早かっただけではなく、徹底した取り組みで感染拡大阻止に成功したのだという。

具体的には、昨年12月31日の感染者0人の時点で人国検疫を強化。年が明けて1月11日には台湾で国内初の感染者発生というデマがSNS上に流れるや否や、政府としてそれを即座に否定。2月5日には中国からの入国を全面禁止し、2月6日にはマスク在庫マップを公開。パニックで買い占めが横行しないように工夫した。

 

政府の迅速なリーダーシップもさることならが、マスク在庫マップなどの詳細な情報を可能にしたのは、政府内のデジタル成熟度が高かったからだと、大植氏は指摘する。

 

台湾政府内のデジタル成熟度の向上に貢献しているのが、デジタル総括大臣のオードリー・タン氏(39)だ。学歴は中卒だが、19歳でシリコンバレーで起業した経験を持つ、IQ180の天才プログラマーだ。

デジタル総括大臣は各省庁の長より上の立場で、各省庁から70人の優秀な人材をデジタル総括省に出向させ、台湾政府を部門横断的に変革してきた。

「デジタルトランスフォーメーションには、おむすび型ではなくレーズンパン的な組織が不可欠」と大植氏は指摘する。おむすびの中の梅干しのようにデジタル人材を1カ所に集めるのではなく、レーズンパンのレーズンのように各部署の中に分散配置するほうが効果的で、台湾はまさにレーズンパン型だというわけだ。

またタン大臣は、1000人以上のメンバーを持つ技術者コミュニティーの中核メンバーでもある。今回のコロナ禍では、台湾でもマスクが品薄になって政府が購入制限を実施したものの、混乱が収まらなかった経緯がある。そこでタン大臣が台湾全土の店舗のマスク在庫状況データをリアルタイムで公開。それを受けて数日後には、技術者コミュニティーのメンバーらが各店舗のマスク在庫状況が一目で分かるアプリを次々と開発。この情報のおかげでパニックが、いくらかは抑えられたようだ。

このように台湾のコロナ対策が成功した理由には、①タン氏を起用するという思い切った人事②部門横断型の変革促進③外部開発チームの活用(オープンイノベーション)の3つの要素が大きく貢献していると大植氏は分析している。

デジタル化の進み具合を3つの段階に大別すると、紙の情報をデジタルに置き換えるのが第一段階。第二段階は、一部の業務を自動化し、データ、AIを活用するレベル。第三段階は、組織全体にデータ、AI活用が広く普及し、アナログとデジタルが融合しているレベル。台湾にはvTaiwanという市民からボトムアップで立法制定できるプラットフォームがある。そのプラットフォームを通じてある女子高生がプラスチックのストローの廃止を訴えたのが、法律として成立した経緯がある。台湾は第三段階に入っていると大植氏は言う。

またタン氏のモットーは、「徹底的な透明性」。「その結果、政府と国民との距離が近づき、コロナ禍への政府の対応に対する国民の満足度は80%を超えている」と大植氏は分析している。

さてこれからもコロナ対策が不可欠の日本企業にとって、台湾の施策から学べることはなんだろうか。

 

まずは台湾の事例から見て、デジタル化が進めば進むほど変化に強い体質を作ることができることは明白だ。また大植氏は「デジタル化が進めば顧客や社員との距離を縮め、満足度を上げることができる。そのためには思い切った若手実力者の抜擢と同時に、外部の力を活用し、社内体制の両輪を回すことが重要」と力説している。

「コロナによって社会に不可逆な変化が起こりつつあり、今デジタル化をどう推進するかで今後優勝劣敗が一気に進む可能性がある。コロナ禍が終わったからといって変革を棚上げにすべきではない。ただちに着手すべきだ」と語ってる。

リモートワークが増える可能性がある、飲食店などは打撃を受ける、などといった今すぐにでも分かる社会変化もあるが、一方で風が吹けば桶屋が儲かる式に、連鎖反応の結果、自分の業界や会社が思わぬ影響を受けることもあるだろう。withコロナ、afterコロナといった長期にわたる社会構造変化を慎重に読み解いて、それに合わせて体制を抜本的に組み立て直す必要が出てくるだろう。「これまでの経営戦略が機能しなくなる可能性があり、目先の経費削減や効率化だけでは今後の構造変化に対応できない。戦略全体の見直しと自社の強みの再定義、強化に取り組むことが重要」と大植氏は強調している。

 

 

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湯川鶴章

AI新聞編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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