アレクサアプリで催眠術、痛みの緩和や禁煙に効果=Reveri Health社、TransTech2019から

AI新聞

「痛みは脳の中にある。なので痛みは催眠術で軽減できる」。シリコンバレーで開催されたTransTech Conference2019に登壇したスタンフォード大学のDavid Spiegel博士は、催眠術の専門家。40年以上の経験を基に、ユーザーに催眠術をかけることのできるアレクサアプリを開発したところ、痛みの緩和や禁煙などに大きな効果が見られたという。

同博士によると催眠術は、脳内の前帯状皮質の活動を低下させ、1つのことに意識を集中させるとともに、背外側前頭前野皮質に働きかけて、痛みの感覚を制御し、自分への意識の集中を緩和することができるという。

同博士らが開発したアレクサアプリReveriを搭載したAmazon Echoなどのデバイスに対し、「アレクサ、痛み緩和の催眠術を始めて」と話かけ、痛みを麻痺させたり、心地よい場所にいるような感覚になるような催眠術を始めてくれるという。

試したユーザーからは「とてもリラックスした。このままの状態でいたい」「ただ話かけられるだけではなく、インタラクティブなのがいい」「鎮痛剤を飲んでいないのに、飲んだような感じになる」などといった好意的なコメントが寄せられているという。

3カ月続けたユーザーの痛みの段階は、10段階の6から4.5まで低下したという。

また催眠術を使った禁煙アプリでも効果が出始めているという。

「怪しいアプリかなと思ったけど、自宅でリラックスすることができた。なにかのスイッチが入ったような感じ。タバコを吸いたいと思わなくなった」「30年間の喫煙の習慣を止めることができた。信じられない」というようなコメントが寄せられたという。

1カ月続けた人の中で完全に禁煙できた人は14%だが、1年続けた人の中でタバコを吸わなくなった人の割合は67%にも上ったという。

同博士は「脳は身体に大きな影響を与える。このほかにもストレス管理、決断力養成、不眠症、ダイエットなど、数多くの問題をアレクサアプリで解決できるのではないかと考えている」と語っている。

同博士らが立ち上げたReveri Health社では、今後もいろいろな問題を解決するための催眠術アプリを開発していくとしている。

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湯川鶴章

AI新聞編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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