自動走行車が街中を走り回る未来って、すぐそこまで来ていたんじゃないの?

AI新聞

ニューヨークタイムズのDespite High Hopes, Self-Driving Cars Are ‘Way in the Future’という記事を読んで。

自動走行車が街中を走り回るような未来は、まだ随分と先の話だという。

この記事によると、わずか1年前まで自動車業界の幹部たちは、2019年の年末までに米国の数カ所の都市で自動走行車が自在に動き回っていると予測していたという。僕は毎年シリコンバレーに取材に行くが、2017年や2018年に取材に訪れた際には、確かに自動走行車関連のビジネスマンたちは、自動走行車が町中を走り回る未来はすぐそこまで来ていると語っていた。

ところが今年3月末にサンフランシスコで開催されたAI関連のカンファレンスに取材に行った際には、スタンフォード大学AI研究所の元所長アンドリュー・エン氏が講演の中で「自動走行車の実用化にはまだまだ時間がかかる」と語っていて、少し驚いた。

そのときは、「ビジネスマンに比べると研究者の方が、より慎重に発言するのかもしれない」と思ったが、この記事によるとビジネスマンの中にも早期実用化を疑問視する声が増えてきているようだ。

フォードとフォルクスワーゲンがこのほど提携した自動走行車ベンチャーArgo AI社のBryan Salesky氏によると、物体を認識するための高性能カメラやレーダーなどのデバイスやコンピューティングパワーは十分なのだそうだが、認識した物体が次に何をするのかを予測するのが難しいのだと言う。

Argo AI社の自動走行車はピッツバーグやマイアミの街中で走行テストを続けているが、自転車が車と車の間を走り抜けながら逆方向に走ったり、道路を掃除する車が交差点の4つのコーナーを掃除しながらUターンしたりというような、人や車の予測不能な動きに毎日のように遭遇するという。どうやら人間の行動を予測するのが、最大の難関らしい。

このため、自動車メーカーの中で唯一、テスラだけが完全な自動走行車を来年中に発売すると強気の姿勢を崩していないが、ほかの自動車メーカーは具体的な発売日についてはまだ言及しない状況が続いているという。

自動走行車ベンチャーのMay Mobility社のAlisyn Malek氏は、どこへでも自由自在に行ける自動走行車の開発には、数年から何十年もかかるかもしれないと語っているという。

なんだよ、まだまだ先に話なのか。高齢者ドライバーの事故のニュースが増えてきたので、自動走行車の登場を待ちわびているんだけどな。

 

 

湯川鶴章

AI新聞編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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