自動走行車って、いつ実用化するの?やっぱり数年間は無理かな。

AI新聞

多くのベンチャー企業の人たちってエネルギーに満ちあふれていて、話の内容も大風呂敷を広げるケースが多い。なのでテクノロジーが本当はどの程度進化しているのか、よく分からないことがある。

自動走行車は、その最たる例。

2年前に某カンファレンスに登壇した半導体大手の幹部が「2020年までには、自動走行車が街中をふつうに走っているだろう」と話していた。2020年まで半年を切ったが、あと半年で自動走行車がふつうに走っている様子を想像しづらい。ビジネスマンは利害が関係してくるので、ポジショントークする人が多くって、本当にそう思っているのかどうかもよく分からない。

その点、研究者はポジショントークが少ないように思う。今年3月にシリコンバレーで取材したカンファレンスに登壇していたスタンフォード大学AI研究所の元所長のAndrew Ng氏は、「自動走行車の実用化はまだまだ先だろう」と話していた。Ng氏の話のほうが、信頼性が高いように思った。

そんな風に自動走行車周辺の動きをゆるーくウォッチしているのだが、米誌The Informationが自動走行車に関するカンファレンスを開催してようだ。SoftBank’s Ronen Says Self-Driving Market “Big Boys’ Game”という記事が出ていたので読んでみた。

この記事によると、Googleの自動走行車プロジェクトの元責任者で現在Aurora InnovationのCEOを務めるChris Urmson氏は、「(いくつかの難しい問題は)まだ完全に解けたわけではない」と語ったという。

同氏は2011年ごろに、実用化はもうすぐで、同氏の長男は運転免許証を取得する必要がなくなるかもしれないと語っていた。ところが同氏の長男は今年、運転免許証を取得する予定だという。

ビジネス側の人でもロードマップを軌道修正する人が出始めたので、やはり実用化はまだまだ先なのかもしれない。

このカンファレンスにはソフトバンクのVision Fundのマネージング・パートナーのMichael Ronen氏も登壇。同ファンドは、自動走行車関連のいくつかのベンチャー企業に出資しているが、数年以内に結果を出すように指示しているという。

確かに数年先が一つの目安なのかもしれないと思った。

 

 

湯川鶴章

AI新聞編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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