FuturismというサイトがAnalysis: “The Era of Deep Learning Is Coming to an End(分析:ディープラーニングの時代が終わろうとしている)”という刺激的なタイトルの記事を書いている。
きまぐれAI新聞編集長としては見逃すことのできないテーマなんで、この記事の元ネタであるMIT ReviewのWe analyzed 16,625 papers to figure out where AI is headed next(AIの次の方向性を探るために16,625本の論文を分析しました)という記事を読んでみた。
ネタ元のMIT Reviewの記事の副題は確かにOur study of 25 years of artificial-intelligence research suggests the era of deep learning is coming to an end(25年間のAI研究をわれわれが調査したところ、ディープラーニングの時代が終わることを示唆している).となっている。でも、記事本文の中にはその明確な根拠は記載されていない。
ちょっとでも根拠に触れている部分があるとすれば、「過去の歴史を見ると、AI研究の中でいろいろなテクニックのブームが起こっては消えていった。それを考えると、ディープラーニングのブームも終焉する可能性があることに簡単に気づくことができるだろう」という部分のみ。当たり前と言えば、当たり前の話。過去の論文のキーワードを解析しなくても、そうだろうなって思っている人がほとんどのはず。さすがにこのことを見出しに取れば、根拠のない煽り記事としてMIT Reviewが批判されることになる。なので、副題にしたんだろうな。でFuturismがそれを見出しにしたわけだ。あーあ、釣られちゃった。
まあでも、ディープラーニングの中でも最近は強化学習に関する論文が増えている、というところは面白かった。
MIT Reviewの一番の主張は、アーカイブというオンライン論文サイトを人工知能関連のキーワードで検索したところ、各種テクノロジーの栄枯盛衰の傾向を明確に読み取ることができる、というもの。
例えば人工知能に関する論文に出てくるキーワードを解析すると、2000年前後は「ロジック」や「ルール」といった知識の時代を示すようなキーワードが多い。しかし2000年代の半ばごろからは「データ」や「パフォーマンス」といった機械学習の時代を示すキーワードが増えてきている。
そして2012年に、トロント大学のヒントン教授のチームが画像認識コンテストで圧勝して以来、「ネットワーク」や「学習」というキーワードを含む論文が増えている。AI研究がディープラーニングの時代に入ったことがわかる。
最近では2015年ごろから、機械学習に関する論文の中でも強化学習に関する論文が増えている。Google傘下のDeepMindのAlphGoが碁の名人に勝ったことで、AlphaGoが使っていた深層強化学習に関する論文が増えているものと見られる。