量子コンピューターは、ビジネスの世界でいつ実用化されるのだろう。実用化は「量子アドバンテージ」が達成されたときから一気に始まると言われている。
量子アドバンテージとは、実社会の課題をこれまでのコンピューターより①精度よく、②より速く、③より安く解決できるということ。生物学や科学、機械学習の分野で、量子コンピューターは既に実験的に使われ始めているが、より大事なのは実社会の課題に対しコストパフォーマンよく利用されるということ。実社会の課題を解決して初めて、量子コンピューターの時代が始まったと言える。
その量子アドバンテージの時期を少しでも早めようと、量子コンピューターベンチャーの米Rigetti社が、量子アドバンテージの達成に貢献した個人や企業に賞金100万ドルを贈る「Rigetti量子アドバンテージ賞」プロジェクトを発表した。
Rigetti社では、量子アドバンテージを達成するには3つの要素が不可欠だと考えている。1つは量子コンピューティングのハードウェア。それはRigetti社が、同社のクラウドサービスQCSプラットフォームを提供する考え。
2つ目は、実社会における課題。どのような社会課題が量子コンピューターで解決できるのか。同社では2019年に、量子コンピューターで解決できそうな社会課題の最初のリストを発表するとしている。
3つ目は、Rigetti社のハードを使って社会課題を解決するのに必要なソフトウエアや、それを開発する開発者のコミュニティ。このコミュニティで大きな成果を挙げて、量子アドバンテージを達成することができた個人や企業に賞金を贈るのだという。
Rigetti社は、あと2年から5年で量子アドバンテージが達成されると予測している。
このあと、どのような社会課題が提示されるのか。そして実際にそれが本当に2年から5年で解決されるのか。Rigetti量子アドバンテージ賞の行方を見守っていきたい。