新しいセンサーの登場で、自動走行車のAIは再学習を迫られる=LuminarのAustin Russell氏

AI新聞

George Gilder氏のLife After Googleの中にLuminarというスタートアップのCEOAustin Russell氏の話が紹介されている。Luminarは、自動走行車用のセンサーの会社。同社のLiDARセンサーは、市販されているセンサーの10倍の距離の物体を50倍の解像度で認識できるという。

AIはデータがすべて。質の悪いデータをどれだけ学習させても、予測精度は上がらない。GoogleTeslaを始め、世界中の自動車メーカーやテクノロジー企業が自動走行車の研究開発を続けているが、「現行のセンサーでデータを集めている限り安全な自動走行車は開発できない」とRussell氏は言う。Luminar社のセンサーが市販されれば、先行する自動走行車の取り組みはすべて、やり直しが必要になるとしている。

シリコンバレーでは「ソフトウエアがすべてを飲み込む」と考えている人が多いが、Russell氏は今の段階においてはハードウェアこそが差別要因だと主張している。

なかなかはっきりとモノを言う人らしく、Teslaのイーロン・マスク氏などが、自動走行に関する規制を緩和すべきだと声高に主張していることに対し、Russell氏は「一番怖いのが不完全な自動走行車が解禁になって、事故死が増えること。そうなれば自動走行の業界全体が潰される。僕に言わせれば、今の技術レベルなら今の規制でも緩すぎるくらいだ」と語っている。

Russell氏は現在23歳。12歳のときに親が携帯電話を買い与えてくれなかったので、任天堂のゲーム機を改良してネット通話をしていたという。主に光学系やホログラフに関する論文を読むのが好きで、17歳のときに起業。ピーター・ティール氏のファンドなどから3600万ドルを調達し、近々1万個の生産体制を整えるという。

個人的にはこうした鼻息の荒い若い起業家が大好き。果たして自動走行車の新星となるのかどうか、注目しておきたい。

 

湯川鶴章

AI新聞編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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