ブロックチェーン:バブルが弾けても、社会を変えるのは間違いない

AI新聞

ZDNetの記事「ブロックチェーンの現在と未来–「ハイプ」の先に何があるのか」という記事から。

少し長い記事だけど、良記事。まずはブロックチェーンがどういう技術であるかの説明がある。

ブロックチェーンは本質的には特殊なデータベースであり、仮想資産や物理資産に関する逐次的かつ変更不能なデータの「ブロック」を、暗号学的ハッシュによってリンクし、ピアツーピアで接続された複数の「ノード」上で伸び続けていく「チェーン」として分散、管理するというもの。

ちょっとわかりにくいかもしれないけど、データベースを一箇所に集めないで、ノードと呼ばれるコンピューター上に分散させる仕組み、ということ。それでデータをハッシュ関数と呼ばれる関数で小さくして、ブロックという単位に集めて連ねていくので、ブロックチェーンと呼ばれる。

ブロックチェーンには参加の許可を取る必要があるものと、許可を取る必要のないものがあるなど、最低限の説明で、ある程度理解できるような文章になっている。

説明のあとは、調査会社のレポートから主だった意見を集めている。

僕がおもしろいと思ったのは、次のような意見。

Cisco SystemsのTom Davies氏

自分の会社にとってブロックチェーンが必要かどうかは、次のチャートで判断できる。

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Gartner

2022年までを見据えたとしても、ブロックチェーンを用いた革新的変革を達成する企業は10%程度にとどまる。
2022年までに、ブロックチェーン技術を用いた、100億ドル規模の革新的なビジネスが少なくとも1つ生み出される。
2026年までに、ブロックチェーンによるビジネス価値の増加が3600億ドルを超えるまでに膨らみ、2030年までに3兆1000億ドルを超える規模にまで爆発する。

Gartnerは2018〜2021年を「異様なまでに活気あふれる」期間であるとし、その後に「より規模の大きな集中投資と、成功事例をもたらす多くのモデル」が生み出され(2022〜2026年)、「世界的かつ大規模な経済価値の増加」がそれに続いていく(2027〜2030年)としている。

IDC

2018年でブロックチェーンへの投資が最も多いのは金融分野であり(7億5400万ドル)、その後に流通およびサービス分野(5億1000万ドル)、製造および資源分野(4億4800万ドル)が続いているとしている。また、同社の調査で上位に挙がっていた具体的なユースケースは、国をまたがる支払いや決済(2018年時点で2億4200万ドル)、ロットの追跡や来歴管理(2018年時点で2億200万ドル)、貿易金融および貿易後や取引後の決済(2018年時点で1億9900万ドル)だ。

IBM

3つの教訓。

  1. 「経済的利点の確立」新たな機会を洗い出すべき。
  2. 「信頼の輪の確立」ビジネス標準の促進に向けた業界団体の価値を称賛すべき。
  3. 「素早く学び、既成概念にとらわれない」ブロックチェーンを静観するというアプローチに警鐘。初期のプラットフォームによって今後の数十年における進化の道が形作られるだろう。

Underscore VCの共同創業者であるMichael Skok氏

われわれは、パブリックなブロックチェーンがイノベーションを生み出す場となり、新興企業とイーサリアムのような新進気鋭の技術が革新的なDAppsを率いていくようになると確信している

Gowling WLGおよびBizWord

ブロックチェーンが価値を生む業界と領域

キャプション

IDC

キャプション

各社の意見を総合すると、「今はバブル。なのでいずれ弾ける。でも社会を変えるような重要な技術であることは間違いないので、無視するわけにはいかない」というような感じかな。

 

湯川鶴章

AI新聞編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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