米Microsoftは、同社の中国の研究所がチャットボット技術に関し大きな成果をあげたと発表した。ユーザーとのより自然な会話が実現するという。日本の女子高生AI「りんな」にも近く搭載される予定で、りんながどの程度賢くなるのかが楽しみだ。
公式ブログによると、中国の研究所が開発したのは「full duplex voice sense」という技術。full duplex(全二重通信)とは、通信業界の用語で双方向同時通信の意味。トランシーバーはhalf duplex(半二重通信)なので、どちらか片一方しか話せないが、電話はfull duplexなので双方が同時に話すことができる。
今回の技術革新のおかげで、チャットボットが、トランシーバーのようなぎこちない会話から、電話のようなスムーズな会話になるという。
具体的には、ユーザーが文字を打ったり話しかけている途中でユーザーの発言内容を理解し、文末がどのような形で終わるのか、次にどのようなことを言うのかを予測。ぎこちない時間差を発生させないのだという。
また話が脱線しても、元の話題に戻ることも可能になる。
また「へいsiri」「OK、Google」などといったスリープ状態からボットを呼び出すためのウェイクワードも不要になるという。
中国で大人気の同社のチャットボット「シャオアイス」には、この技術が搭載済み。現在、日本の女子高生AI「りんな」などにも搭載を進めている。
Microsoftの別のチャットボット「Cortana(コルタナ)」には搭載しない方針。
チャットボットには、「秘書型」と「親友型」の2タイプある。同じチャットボットでも、秘書型はできるだけ少ないやりとりで対話を終えることを目的としているのに対し、親友型はやりとりが多く続けば続くほどいいという考え方。なので使われる技術も大きく異なり、今回の技術はシャオアイスやりんななどの「親友型」ボットに搭載されることになる。
Microsoftの親友型ボットは現在文字によるコミュニケーションが中心だが、今回の技術革新を受け、AIスピーカーなどに搭載されるのは間違いない。事実、シャオアイスを搭載したXiaomi製のAIスピーカーYeelingtは2ヶ月前に発売されているし、米VentureBeatによると、Microsoft関係者が「今後半年以内に他のデバイスへの搭載も進めていく」と語っているという。
MicrosoftとAmazonは、AIスピーカーで提携しているので、りんなをAmazon Echoで利用できるようになるかもしれない。