AIプラットフォームは分断へ

AI新聞

未来を的確に予見することで定評のあるAmy Webb氏のレポートが公開された。無料ダウンロードが可能。いくつか、おもしろそうな話をピックアップしてみたい。まずは、AIプラットフォームが分断されるという話。

例えば、まずはAIの言語や開発キットで、互換性のないものが登場し始めている。MicrosoftIBMAmazonGoogleといったAIのキープレーヤーが、独自の言語や開発キットを提供し始めているし、Uberでさえ、独自の開発言語Pyroを出してきた。

また半導体の領域でも、キープレーヤーが独自の半導体の開発を進めている。独自開発しているキープレーヤーには、HuaweiAppleGoogleIBMNVIDIAIntelQualcommなどがある。

こうした半導体はSystem on a chipと呼ばれ、AIに特化した設計になっているため、AIのさらなる高速化が期待できる。一方で互換性がないため、市場が分断される恐れがある。

有名なところではGoogleAI開発環境であるTensorFlowに特化した半導体Tensor Porcessing UnitTPU)がある。碁のチャンピオンに勝利したAIAlphaGO」はTPUを使っていたらしい。

またイーロン・マスク氏率いるTeslaも、独自AI半導体を開発中といわれている。

AIのソフトウェア、ハードウェア共に、市場が分断される方向で進んでいるわけだ。Amy Webb氏は、「古くはWindows vs Mac、最近ではiOS vs Androidのような分断が、AIの領域でも起こりそう」「最終的には、2、3の陣営に収斂されるだろう」と予測している。

湯川鶴章

AI新聞編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

この機能は有料会員限定です。
ご契約見直しについては事務局にお問い合わせください。

関連記事

記事一覧を見る