• Home
  • AI新聞
  • デバイス側で「学習」可能な小型半導体チップ続々登場

AI新聞 -AI WEEKLY- 人工知能の世界をもっと身近に AI新聞 -AI WEEKLY- 人工知能の世界をもっと身近に

デバイス側で「学習」可能な小型半導体チップ続々登場

  • 2018.2.22

SHARE

AI向け半導体といっても、大別すると2種類ある。画像認識を例に取ると、大量の画像データから一定のパターンを認識する「学習」用半導体と、学習済みモデルをベースに何の画像かを判断する「推論」用半導体の2種類だ。

「学習」用のほうが比較にならないほど大量の電力を消費するし、サイズも大きい。なのでスマートフォンなどの小型のデバイスには「推論」用の半導体のみを搭載。「学習」はデータをクラウドに送り、クラウド上の「学習」用半導体で行うというのが、これまでのやり方だった。

ところが最近はスマホなどのエッジデバイスにも学習用の半導体が搭載されるようになってきた。

iPhone8とiPhoneXに搭載されたA11チップはニューラルエンジンが搭載されていて、1秒間に6000億回の演算処理が可能になった。このチップのお陰で、クラウドにデータを送らなくてもiPhone上でユーザーの顔を「学習」し、ロック解除という「推論」が可能になっている。

顔データは、ユーザーのiPhone以外のデバイスと共有されることがないので、プライバシーやセキュリティの面でも安心できるわけだ。iPhone上の半導体だけで学習できるようになったからこそ、顔認識によるロック解除を実装してきたのだとも言える。

半導体大手Intelは半導体業界の老舗メーカーの意地にかけてもAppleに追いつかなければならず、MyriadXというエッジデバイス搭載用の画像処理チップを開発したMovidius社を買収した。

MyriadXは、スマホのみならず赤ちゃんのモニターカメラなどの家電や、ドローンなどのエッジデバイスにも搭載されるものとみられている。

一方、エッジ側での学習には、プライバシー保護だけではなく、レスポンス時間短縮のメリットもある。

Googleは、「federated learning」という名称で、一部の学習機能を エッジデバイス側に持たせる仕組みの開発を続けている。Googleが開発したキーボード「Gボード」はfederated leaningを搭載、キーボード上の半導体がユーザーの入力パターンなどを学習することで、予測変換などのレスポンスを速くすることに成功しているようだ。

エッジデバイス上で学習できるようになったことで、プライバシー保護とレスポンスが向上する。このことが新たなビジネスモデルにつながるかもしれない。要注目領域の1つだ。

湯川鶴章

AI新聞編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。