未来の国防はAIが要(かなめ)

AI新聞

社会がデータに依存するにつれ、サイバーセキュリティが国防の中核になり始めた。特にコンピューターウイルスなどのマルウエアは新種が次々と登場しており、これまでの手法では対応し切れなくってきていることから、AIに対する期待が高まってきているようだ。

政府機関は自分たちの技術力では対応し切れなくなってきていのか、AIセキュリティのベンチャー企業に出資したり、そうした企業のサービスを積極的に利用し始めているようだ。軍事的にも非常に重要な領域であることから相当の金額が動いているようで、ユニコーンと呼ばれる時価総額10億ドル前後の超優良ベンチャーがこの領域でたくさん生まれている。

事実過去5年間で、134社のサイバーセキュリティーベンチャーが総額360億5000万ドルの出資を受けており、特に昨年は34社が出資を受けるなど市場が活気付いている。主なプレーヤーはCybereason社、CrowdStrike社、Cylance社、Taniumなどで、いずれも市場価値が9億ドル以上のベンチャー企業ばかりだ。

大手企業側も、こうしたAIセキュリティーベンチャーの買収に躍起になっており、Amazonはこれまでに、Harvest.ai社とSqrrl社を買収している。Amazonは、2014年にCIAの要求する高度なセキュリティレベルに対応したクラウドサービスをCIA向けに提供。2017年末からは、同サービスを米国政府の他の省庁向けにも提供し始めている。買収した2社の技術は、AmazonのクラウドサービスのAIセキュリティーのレベル向上に利用されるものと見られている。

大手コンサルティング会社のAccentureも、米空軍を顧客に持つベンチャーのEndgame社を買収。米国の諜報機関の投資部門である In-Q-Telは、Anomali,社、Interset社、Cylance社に出資している。戦闘機メーカーのLockheed Martin社は、現在市場価値が9億ドルにまで成長したCybereason社に初期段階で出資。Boeing社はテキサス州のSparkCognitionに出資している。

湯川鶴章

AI新聞編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

この機能は有料会員限定です。
ご契約見直しについては事務局にお問い合わせください。

関連記事

記事一覧を見る