海外の大都市に行くと、街角にレンタル電動スクーターが設置されているのを見かけることがある。スマートフォンで簡単に借りることができ、目的地で乗り捨てし、帰りにまた別のスクーターをレンタルできる。歩くには少し遠いが、タクシーに乗るほどでもない。そんな中途半端な距離の移動手段としては、とても便利だ。
マサチューセッツ工科大学の研究者たちが操業したSuperpedestrian社は、そうしたスクーター事業者の中でも後発組。ただ同社のEmily Warren氏によると、先発の事業者はスクーターのハードウェアに注力するあまり、AIなどのソフトウエアはなおざりだったと指摘する。
同社のシステムは、スクーターに各種センサーを装備し、リアルタイムにデータを入手、分析することで、故障を事前に予測することが可能。また予想外の故障にも最速0.2秒で対応し、ユーザーを守るという。
またスクーター本体にジオフェンシングと呼ばれるGPS機能を搭載。スクーターの進入禁止地区の直前でブレーキが自動的にゆっくりとかかり、前進できない仕組みになっている。急な進入禁止地区の変更にもリアルタイムで対応するという。
故障の事前予測やジオフェンシングが事故を未然に防ぐことができるというわけだ。
また修理や消耗部品の取り替え時期を事前に予測できるため、他社と比較してメンテナンスコストを約50%も削減することに成功。スクーター1台当たりの寿命も大きく伸びたという。
Emily Warren氏によると、運営コストが高く採算が取れないことで撤退する事業者が多いという。「自治体を使って実験しただけ。あとに残された多くの自治体が困っている」と指摘。AIを搭載したインテリジェントな電動スクーターで「マイクロモビリティは新時代に入った」と主張している。