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【書籍レビュー】「Competing in the Age of AI(AI時代の戦い方)」

  • 2020.12.11

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Competing in the Age of AI: Strategy and Leadership When Algorithms and Networks Run the World (English Edition)

Marco Iansiti他著

 

AI時代に入り、価値創造の方法が変わった、と「Competing in the Age of AI」の著者であるハーバード大学ビジネススクールの2人の教授は指摘する。ヘンリー・フォードが自動車工場に大量生産という手法を導入して以来、ありとあらゆる業種でこの手法が取り入れられてきた。食料品販売の領域では早くからスーパーマーケットという形で導入されてきたし、外食ではファーストフード店やファミリーレストラン、衣料業界ではユニクロがその代表例だ。

 

大量生産の本質は、工程を分割し、それぞれの工程の専門家を育成するというもの。そうすることで、よりよいものをより安く提供する。そう考えれば、ほぼすべての企業や組織が業務内容によって組織を分割しているので、大量生産という手法の影響を受けていると言える。あまりにも当たり前のことなので、気づかないくらいだ。

 

このあまりにも当たり前の価値創造の手法が、「AIの正のスパイラル」という新しい価値創造の手法に取って代わられようとしている、というのがこの本の最大の主張だ。

 

 

 

「AIの正のスパイラル」とは、大量のデータを与えればAIは賢くなり、その結果サービスが向上し、より多くのユーザーが利用して、さらにより多くのデータが集まる、というもの。さらにより多くのデータが集まれば、AIがさらに賢くなり、さらにサービスが向上し、さらに多くのデータが集まる。人間を介在しない無限ループである。

 

この無限ループでAIが勝手にどんどん賢くなっていく。それが、これからのビジネスの価値創造の基本になっていくというわけだ。

 

この無限ループに入った企業は、1つの業界の覇者となり、さらにその周辺の事業にまで進出し成功を収めていく。Google、Amazon、テンセント、アリババなどがその実例だ。

 

ただこの無限ループが有効なのは、こうした大手のテクノロジー企業だけではない。大量生産の手法がありとあらゆる業種の中に浸透していったように、AIの無限ループは今後ありとあらゆる業種の中に利用されるようになる。そして無限ループに入った企業と出遅れた企業の間に、取り返しのつかないほどの業績差を作り出すのだと言う。この本の中では、フィットネスクラブのPelotonなどの成功例が紹介されている。

 

この本のポイントを、10分の動画にまとめたので、ぜひご覧いただきたい。

この本の中では、NetflixやMicrosoftでのAIをベースにしたデジタルトランスフォーメーションの実例が取り上げられている。その内容については、2021年1月13日のオンラインセミナーの中でお話したいと思う。

この本は残念ながら未だ和訳されていないが、英語のkindle版を購入し、kindle cloud readerにDeepLと呼ばれる自動翻訳ツールを搭載すれば、全章を日本語に自動翻訳してくれる。AIによる自動翻訳なので完璧ではないか、十分に意味を理解できるレベルになるので、実際に詳細を知りたい方はこの方法で原書を読まれることをお勧めしたい。

 

 

 

 

湯川鶴章

AI新聞編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。